立場変われば人は変わる

今年1月からとある福祉施設の管理者をやるようになって、相変わらずいち会社員ではあるのだけれど、いわゆる「経営側」の視点も持たざるを得なくなった。私の今の目標は、ただただこの事業を続けていくことだけ。それが最重要課題。

福祉施設といえど、事業を続けるためには利益を出すことが必要で、利益を出すためには支出を減らし収入を増やすことが必要。そのために、利用者満足度の向上とか職員満足度の向上とか色々な観点で日々判断をしなければならない。

一方これまでのヒラ社員の立場であれば、自分が食いっぱぐれない事とか、自分の売り上げをあげる事とか、自分が快適に過ごせることが最重要課題だった。

立場が変われば大事なものも変わる。大事なものが変われば、そりゃあ「人が変わる」のよね、ということにようやく気づいた。

多分歳相応に生きてきた一般女子なら子どもができたり昇進して部下ができたりして、もっと早くに気づいていたことなんだろうけど、いかんせん今まであまり立場が変わることのなかった人生だったので、こんな歳になってしまった。

 

これまで社長になったりお金持ちになったりした後に「人が変わったなぁ」と感じた人が何人かいたのだけど、それは単純に傲慢になったとか権力にあぐらをかいてとか欲深くなってとか、そういったあからさまに分かりやすい話ではなく、見てるものや考えていること、もっというと一番に守りたいものが変わっただけなのかもしれない。

「相手の立場に立って考える」ってよく言われることだし、大事なんだけど、けっっっこう難題だよなぁと日々考えている。だって実際その立場にならないと分からないこと、見えないことは多い。というか、ほとんどそうだ。そして人はどうしたって主観的にしか生きられない。似たようなケースを経験することで共感はしやすくなるだろうけど、本当の本当に、その人の立場で実際に経験することなんて不可能だから。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でもそういうことが描かれてるなぁ、と、自分に重ね合わせて観ている。いや重ね合わせられないけど。ネット上では義時が「ダークサイドに落ちた」とよく言われているけれど、守りたいものや重要なものが変われば判断基準や言動は変わらざるを得ないし、それに伴う結果も変わる。そしたら「○○は変わった」とか、周りからは言われちゃうよなぁ。もちろん、権力を手にすることで願望が実現しやすくなって、「加速度的に人が変わる」ってところはあるかもしれないけど。

 

「立場変われば人は変わる」の視点を忘れずに人と接したいナーと思って日々仕事してるけど、正直そこまで考えると自分の方が保たなかったりもする。事業の継続を第一に考えたら、社員全員の立場とか背景とか思惑とか全部聞いてたらパンクするし、私がまだまだそんな器で無いのよ。規模が小さいので今はまだ大丈夫だけど。精進あるのみ。